英語で政治経済を勉強しよう 7月31日
ミルトン・フリードマン語録
本日7月31日はマネタリスト、新自由主義を代表する巨星ミルトン・フリードマン氏の生きていれば108回目の誕生日だそうです。
私が経済学部の学生だった90年代はケインジアンとマネタリストの二大経済学派の考えの違いが大きな論争のテーマでした。最近では財政出動の重要性を説くエコノミストが圧倒的に多く、マネタリストも以前の勢いがありません。
本日は The American Enterprise Institute というアメリカのシンクタンクのサイトから、7月31日のMark J. Perry氏によるフリードマン氏の20の語録です。
Happy 108th birthday to Dr. Milton Friedman!
難易度
語録も一つや二つだと良いのですが、20ともなると全体が長くなりますね。全1364語ですので全部読むだけで大変です。おまけに歴史に残る引用文というのはそれなりにひねった表現であったり独自の表現であったりするので一筋縄ではいかない文章もちらほらあります。フリードマン氏は一般向けに経済学の議論を解りやすく端的に表現することができる人だったので政治的影響力も大きかったのかなとも思います。ですので経済学者の語録ですが、ほとんど経済の専門用語や理論は出てきません。
解説
フリードマン氏についてはwikiのページで予備知識をつけておくと発言の背景が理解しやすく読解の役にも立ちます。
発言の多くが今日的視点からみると極端な自由市場主義、自由主義に聞こえます。ここらへんは80年代のケインジアン経済政策からマネタリストの政策にシフトさせるためのあえての挑発的言動という側面や、時代性なども考慮に入れておくべきかと思います。
時間のある人はつらつら全部読んでみてください。往年の自由市場礼賛の空気に触れることができます。
あまり時間のない人は下記の5つの読解に挑戦してみてください。
1. There is nothing as permanent as a temporary government program.
名言らしい不思議な言い回しです。政府の一時的な(もしくは緊急的な)支出が恒常的な支出になってしまい、財政支出が肥大化することを表しています。
7. Nobody spends somebody else’s money as carefully as he spends his own. Nobody uses somebody else’s resources as carefully as he uses his own. So if you want efficiency and effectiveness, if you want knowledge to be properly utilized, you have to do it through the means of private property.
民間部門の効率性の優位性についてです。小さい政府主義のど真ん中ですね。
8. The government solution to a problem is usually as bad as the problem.
本当に公的部門には不満があるらしいです。
10. The high rate of unemployment among teenagers, and especially black teenagers is both a scandal and a serious source of social unrest. Yet it is largely a result of minimum wage laws. We regard the minimum wage law as one of the most, if not the most, anti-black laws on the statute books.
最低賃金が若年層、マイノリティー層の失業を増やしているという考え。これも現在ではなかなか受け入れられない議論かもしれません。
16. The great achievements of civilization have not come from government bureaus. Einstein didn’t construct his theory under order from a bureaucrat. Henry Ford didn’t revolutionize the automobile industry that way. In the only cases in which the masses have escaped from grinding poverty, the only cases in recorded history are where they’ve had capitalism and largely free trade. If you want to know where the masses are worst off, it’s exactly in the kinds of societies that depart from that, so that the record of history is absolutely crystal clear: that there is no alternative way so far discovered of improving the lot of the ordinary people that can hold a candle to the productive activities that are unleashed by a free enterprise system.
マネタリストが敵視したのはケインジアンだけでなく、当然社会主義のことも否定していました。自由主義の大切さだけでなく、資本主義の大切さもこの時期だと重要な政策論争の一部でした。
いかがでしたか?40代以上の人にとっては社会主義の崩壊とマネタリスト&新自由主義の全盛期を経て、リーマンショック後の金融財政政策トレンドの変化そしてMMTの台頭、といった新古典派的自由主義の浮き沈みをこの語録を読みながら思い出せたのではないでしょうか?
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