今年の復活祭(イースター)を迎えるにあたり

By 与謝野信, 2020年4月8日

はじめに

 新型コロナウイルスへの感染が各地で広がっており、4月7日に緊急事態宣言が発令されました。世界での死者数は6日時点で7万人を超えています。亡くなられた方々とそのご家族に哀悼の意を表します。今も病と闘っている患者の皆様が一刻も早く快復できることをお祈りいたします。厳しい環境下で患者を支え続けている医療関係者をはじめとする皆様に心からの敬意と感謝を申し上げます。この辛い時期を乗り越え、再びみんなで集まり楽しく食事をしたり、笑い合える日が早く戻ってくることを心から願っております。

外出自粛の日々の中で

 東京では不要不急の外出の自粛の要請が行われており、同様に世界の多くの都市でも外出自粛やテレワークなどが導入されており、生活スタイルに大きな変化が生じています。通勤のため外出を続けている場合も人との接触の機会が多く、感染への心配と背中合せです。

 多くの方々がこの環境下で様々なストレスを感じていると思います。

 私自身もここ数週間の都知事の不用意な発言などへの不満などが溜まっており、ついつい愚痴が増えてしまっています。しかし妻から「今この状況でグダグダ文句言っても意味ないでしょ?」と言われ反省しました。

 現都知事への批判は来たる知事選のときに必要に応じて理路整然とすれば良いことだし、政策面で言えば結局は安倍政権がおこなう国政レベルの感染対策および経済対策がもっとも重要なので、今後詳細が出てくる政府の追加対策および中長期的な経済政策に関する分析・評価が大切ということになります。

 未曾有の感染症の危機に対して、大規模かつ適切な医療および経済対策が必要です。私自身、今後も経済政策を中心に分析や論評をしていきたいと思っています。

少し違う視点から

 しかし政治や経済といった話題ばかりをこの状況下で読むのもしんどいかと思いますので、今回はいつもとは違った視点からのブログを書いてみます。

 少し前に面白いツイートが流れてきました。

 ダビンチの「最後の晩餐」が中央のイエスだけになっており、他の弟子たちはビデオ会議で参加しています。

“This year’s Easter Passover Seder” とあります。Easter はキリスト教の復活祭のことで、Passover Sederは辞書などにはセーデル・シェル・ペサハと訳されるのですが、聖書に使われている訳語の過越(すぎこし)祭のほうがわかりやすいかもしれません。意訳すると「今年の過越祭の晩餐」でしょうか。ちなみにユダヤ暦に基づいている過越祭が行われる日は毎年変わり、今年は4月9日になります。

コロナの影響で集会を自粛して晩餐もビデオ形式になってしまい食卓がすっかり寂しくなってしまった様子が描かれています。

 復活祭や最後の晩餐って?

 最近では東京ディズニーランドでも「イースターイベント」をおこなっており、認知度も以前よりは上がってきたかもしれませんが、まだまだ知られていない「復活祭」とはなんでしょうか?

 復活祭はイエス・キリストが十字架につけられ死んでから三日後に復活したことを祝うキリスト教最大のお祭りです。宗教的な意味では生誕を祝うクリスマスより「復活」の方がはるかに重要といえるでしょう。今年は4月12日の日曜日が復活祭にあたります。

 復活祭の由来はユダヤ教の過越祭と密接に関連しています。聖書で語られるイエスの復活までの経緯をドキュメント形式で描いてみましょう。

  • 西暦30年前後の春、その年の過越祭が行われる木曜日の夜にイエスと弟子たちは過越祭の晩餐に集まります。
  • この夕食会が後の世で言われる「最後の晩餐」となり、現在の「ミサ」の原型となります。
  • イエスは夕食の後に祈りに出かけていたところ、弟子のユダの裏切りにより逮捕されます。
  • 深夜から夜明けにかけて、ユダヤ教に基づいた衆議会での裁判と総督ピラトの裁きをへてイエスは死刑とされます。
  • 金曜日の午前中にゴルゴダにおいてイエスは十字架につけられ、午後3時ごろに亡くなります。
  • 夕方遺体が引き取られ取り急ぎ埋葬されます。
  • ユダヤ教の安息日が終わった日曜日の朝早く婦人たちが埋葬を終わらせるために墓に向かうとイエスが復活していました。

 聖書ではこの間にも宗教上大切な話やイベントが数多く入っているのですが、大まかな流れはこんな感じです。

 「最後の晩餐」というのは実はイエスと弟子たちが「過越祭の晩餐」を木曜日に祝って特別な食事会を催しているわけです。だたの夕食ではなく特別な祝いの夕食会なんですね。

 では過越祭って?   

 復活祭はイエスが復活するので復活祭と分かりやすいのですが、それでは過越祭とはどのようなお祭り?となりますね。

 過越祭は旧約聖書の出エジプト記に由来します。昔の映画「十戒」でモーセが海を二手に分けてイスラエルの民が逃げるという有名なシーンがありますが、この「十戒」も出エジプト記をベースにした映画です。近年のディズニー映画「プリンス・オブ・エジプト」同じテーマの映画です。

 出エジプト記は基本的にはエジプトで奴隷となっていたユダヤ人をモーセが率いてエジプトから脱出して、パレスチナに向かう故事の記録です。

 そもそも奴隷となっていたので、ユダヤ人がエジプトから離れることをファラオは許しません。このため神がファラオの心を変えるべく次々と災いを下します。疫病などの自然災害が次々とエジプトを襲いますが、それでもファラオはユダヤ人の全面的な解放に応じません。最後に十番目の災いが下されます。これはエジプト全土の人間家畜を含めた全ての初子が撃たれるという激烈なものでした。ユダヤ人達はモーセの指示に従い、家の鴨居と二本の柱に犠牲に捧げた羊の血を塗るというマーキングをすることによりこの災いを避けました。神の使いがユダヤ人の家を通り越す(過ぎ越した)ことから、神がユダヤ人を護ってくれたことを記念して、以後過越祭として大々的に祝われるようになりました。

 この災いのあと、ファラオはついにユダヤ人にエジプトを離れることを許可します。しかし後に再び心変わりして、自ら先頭に立ち軍隊で脱出したイスラエル人を追いかけるのです。そこで先ほどの海を割るシーンにつながり、エジプトの軍勢は海に飲み込まれ、イスラエルの民は脱出の旅を続け約束の地であるパレスチナを目指すことになるのです。

 今年の復活祭を前に

 今年の過越祭は4月9日木曜日、キリスト教では聖木曜日と呼ばれています。そして翌日はイエスの受難の日の聖金曜日です。復活祭は4月12日日曜日です。多くのキリスト教国では10日金曜から13日月曜までが復活祭のお休みに当たります。

 信心深い母は昔から「受難の金曜日までの40日間(四旬節と呼ばれている)はなぜか不思議と辛いことが多く起きる、しかし復活祭を迎えると物事がこれまた不思議と好転してくるものだ」と言っていました。側から見ると気のせいやら単純に個人的な感想なのでしょうが、信仰とはそういうことも含めて信じることなのかもしれません。

 ユダヤ教でも過越祭の時期ですから災いが過ぎ去ること、キリスト教でも受難から復活という神の民への愛と和解を祝う機会です。

 今は世界がコロナという厄災に怯えています。多くのキリスト教・ユダヤ教の信者も神に祈る日々が続いています。信仰は違えどコロナに対する戦いに人類が勝利することを願う気持ちには変わりはありません。我国でもそして多くの国でここ数週間が一番苦しい時期になることが予想されますが、それぞれの自宅にいながらも世界中の人たちと心を一つにして、この危機を乗り越えましょう。

One Comment

  1. Augustin より:

    Dear Makoto san

    Thank you very much for your clear and hope giving message under this difficult situation,
    As you mentioned solidarity would be the best medicine to overcome this crisis.

    I will share your article with my wife.

    With our full gratitude.
    Augustin


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