政治分野の男女均等法と当事者の政治参加について

By 与謝野信, 2019年7月31日

「政治分野の男女共同参画推進法」(男女均等法)は簡単にいうと国政や地方の選挙において、候補者の男女比を1対1にするように努力する法律です。2018年5月に成立した議員立法です。

この法律には実は設立当初から予見されていた問題がありました。

一つは候補者を男女同数にしなくても罰則規定がないので、政党にとって候補者を同数にする強制性がまったくないこと。

二つ目は「現職」を多く抱える「与党」にとっては同数達成は現実的ではないという点です。「候補者」というと「現職」も「新人」も全員「候補者」になってしまいます。「現職」は男性が多い反面「男性」ということだけで候補差し替えということもできません。実質的に「新人候補」に女性を積極的に登用するしかなく、「新人候補」の割合が少ないと「候補者ベース」ではいくら頑張ってもなかなか同数にはなりません。

このような状況について産経新聞は「政治デスクノート」欄において、

『法律を作った政党・国会議員が法律(の趣旨)を守ろうとすらしないことは、倫理観の崩壊を招くことにつながる。』

と厳しく非難しています。今回の参院選での候補者擁立状況も女性候補の割合は全体で28%と目標の50%を大きく下回っていました。参照記事

上記の記事にもあるように、なかなか自民党は数字的には同数達成が難しい状況ですので、まずは地方議会で地道に女性議員を増やしていくことが重要だと思います。

どこの業界もそうだと思いますけど、優秀でリーダーの素質のある若い人材を確保するのは難しいです。おまけに「政治家」っていまだに世間的なイメージは悪いですよね。ホント人材確保は悩ましい問題です。とはいえ、大きな流れとしては今回の参院選の当選者における女性の割合は22.6%で過去二番目に高い水準となっていますので、政界全体も少しづつは「同数」には近づいていくのではないでしょうか。

さて、「女性」や「マイノリティー」などに対する政策を充実させるために「当事者」が政治参加することはより当事者のニーズに寄り添った政策実現のために意義があると思います。

また、政策の実現以外にも有権者にとっては「当事者」が政界に出ることにより政治家が「共感力」を持ってくれるというメリットもあります。例えば「若い」政治家が誕生することは同世代の有権者からすれば「勇気をもらえる」「自分たちのことを理解してもらえる」といった嬉しさがあります。

私も以前は「共感力」を重視して「当事者」系の候補に対して好印象を抱いていたのですが、最近はより政策実現力を重視するようになっています。「当事者」が必ずしも制度変更を伴う政策の実現能力に長けているわけではないからです。

例えば先の参院選の東京選挙区において「氷河期世代」の「当事者」をアピールする野党の候補者がいました。私自身もロスジェネ世代で、ロスジェネ世代を支えるロビー団体の代表でもあるので、当然「氷河期世代」の候補者による対策や政策には興味があるのです。

しかし、この候補は自身が「氷河期世代」ということで、氷河期世代の苦労は良く解っていて「共感力」はあるようでしたが、具体的な政策となると実効性が怪しかったり、しっかり練られてない印象でした。

そもそもこの候補が議員となって政策を実行するには、まず党内で自らの政策を党内の共通政策に押し上げて、かつ所属が野党なので政府与党にこの政策を採用してもらわないといけません。そもそもそれ以前に「理念」を「政策」として現実性を伴って具体化しないといけません。

ロスジェネ世代対策は「今すぐ」取り組むべき問題なので、「政策実現性があやふや」となってしまうと、正直この「当事者」野党議員に期待するより、当事者でなくとも政策実現力のある与党の議員にロビイングをしたほうがよっぽど効果的に思えてしまいます。

政治分野の男女均等法も同じで、候補者の男女比を同数にするというのは、それはそれで一種のアピール効果なども期待できるとは思います。しかし「当事者」議員は(男女機会均等に限らずですが)「共感力」や「希望を与える」ことから得る票にあぐらをかかずに「政策の実行」にもっと注力しなければいけないのではないでしょうか。

重要なのは

  • 非当事者は想像力とシンパシーを持って問題を解決するために研鑽して
  • 当事者自身も現状の社会の制約下における課題解決の政策立案の研究をすすめて

共にシステムの改善に尽力することではないでしょうか。

と、少し厳し目のことを書きましたが、氷河期世代のこの議員にはロスジェネ問題の解決に積極的に活動してくれるように期待して応援しております。ロスジェネ問題解決のために知恵と力を与野党問わず結集することが必要です。


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