オンラインニュースの識別の難しさ
三浦瑠麗氏の「スリーパーセル」存在の根拠としてブログの中で挙げた記事がMAIL ONLINEというイギリスのタブロイド紙デイリー・メール紙系サイト内の記事だったので、デイリー・メール紙を引用するなんて信用性が低くて残念だという意見がありました。
三浦氏のブログ –> こちら 韓国の情報源に基づく英国の記事として紹介しているサイト
今回の件とデイリー・メールの質について解説するブログ –>「スリーパーセル」は存在するか-欧州の認識とデイリー・メールの信頼度
先に私の意見を述べると、潜伏しているテロリストが「いるかいないか」=「リスクがゼロかそうでないか」という問いよりも、「危険性が許容範囲を超えているか」が重要で、上記の記事の内容は出典以前にそもそもが危険性が許容範囲を超えている明確な根拠とは考えられなかったので重要視していませんでした。
記事は北朝鮮がラジオを通じて数字コードを放送したので、おそらくそれはスパイに対する暗号でその番号と解読用の本を使えば秘密メッセージになる、というスパイ映画に出てきそうな内容で、読む側もある程度「ネタだよね」と暗黙の了解があるのだと思います
よくよく読んでみると、この記事はDaily Star という大衆紙の記事の紹介という体ではっきりとリンクも載せています。つまり上記ブログも誤解しているようですが、おそらくこの記事はデイリー・メール本紙からの記事の転載ではなく、オンライン独自の記事なのではないでしょうか。つまり記事のソースは実はDaily Star紙となります。–> こちらの記事。 Daily Star は上記ブログでも紹介されているサン紙と同様のいわゆる低俗とされるタブロイド紙です。デイリー・メールと比較にならないほど情報ソースとして引用できる媒体ではありません。できれば今からでもこの記事を参照するのをやめたほうが良いかもしれません。
私がイギリスにいた頃(90年代)はオンラインメディアがまだまだの時代ですから紙の媒体がメインでした。低俗系タブロイド紙を買って読んでいるなどとは恥ずかしくてはっきりとは言わないですが、なぜか多くの人が内容を知っている。実際は陰でこっそり政治家のスキャンダル記事などには目を通しているようでした。
紙媒体の時代であれば、こんな「ネタ記事」に触れることすらなかったはずなのにオンラインの時代になってしまい、幸か不幸か情報は取りやすくなったものの玉石混合になり情報の識別の難しさは格段に上がっています。
特にMAIL ONLINEのようにデイリー・メール紙の姉妹サイトという位置づけで、デイリー・メール紙からの転載記事も多く載せているが、実際は独立しており、独自の編集者が独自コンテンツも含めて編集・運営している場合、ソース記事を載せた媒体名である程度の信頼感を持つことすらできなくなり混乱します。イギリス人にとっても分かりにくいようです。下記の記事をご参照ください。
So Daily Mail and Mail Online are ‘totally separate’? It depends how you look at it.
日本でもメディアのネット展開により今まで買ったこともないような雑誌の記事が簡単に紹介され無料で読めるようになりました。一方でメイン紙の有料化は進んでおり自分が購読してる新聞以外は一部しか閲覧できません。いくら各紙が読んでほしい意見等を載せたとしてもお金を出してまで「オピニオン欄」を読もうとは思いません。一方で雑誌やタブロイドは以前と同様の質で扇動的だったり、最後に「か?」をつけた不正確な記事を配信して多くの人に読まれています。
無料記事はシェアもしやすく長い期間削除されなかったりと、ついつい検索をしているとそれらを優先して読んでしまいます。
今回の件は学者であったり英国在住のジャーナリストでさえも本来のニュース発信媒体を勘違いし、結果的に間違った信頼感を持って読んでしまうように、オンラインニュースの識別の難しさをはっきりと見せてくれました。そしてブログなどもタイムリーに発信することを優先するために記事を短時間で書き上げ、チェック等も甘くなるという問題も抱えています。しかし興味があるその時に目につく記事を無料で読めるのですから、読み手としてはついつい読んでしまいます。
将来的にはネット記事の正確性をAIが評価したり、ブログのファクトチェックを公表前にクラウドベースで行えるような時代も来るかもしれませんが、当分は個人のネットリテラシーに依存する時代が続きそうであり、私もできる限り注意深く情報収集及び発信をしてまいりたいと思います。